イタリアには
”バール”
という文化があります。
朝から夜まで開いていることも多い
カフェ兼バーのようなお店で、
エスプレッソを中心としたコーヒー、
クロワッサンやパニーニのような軽食、
お酒や簡単なおつまみなども
提供しているようです。
バンコと呼ばれるカウンターで
立ったまま、さっと素早く飲食すると
値段が抑えられ、
一方で少し値段は上がりますが
椅子に座ってゆっくり過ごすこともできます。
短い時間で軽く飲食をしたり、
ちょっとした立ち話を楽しんだり、
トイレを借りるついでに立ち寄ったり。
イタリアの人にとってバールは
気軽に行き来する
社交の場のようなものとして
親しまれているようです。
そんなバール文化を見ていると
ひとつのお店には
いろんな立ち寄り方や関わり方が
あってもいいような気がしてきます。
お店というと
商品を購入したり飲食をする
そういう目的が多いとは思います。
けれど、
もう少し小さな社交も
あるのかもしれません。
顔を合わせて挨拶すること。
商品の感想をひとこと伝えること。
すこし立ち話をすること。
前に来た時を思い出すこと。
その場にいる誰かの気配を感じながら
すこしひと休みすること。
そういう小さなやり取りもまた
暮らしの中では
十分に心地よい人との関わり
なのだと思います。
ずっと話し込むわけではなくても
顔を見て
「こんにちは」
と言える場所があること。
なんとなく安心して
立ち寄れる場所があることは
それだけでも日々の中では
大きなことなのかもしれません。
人との関わりというのは
いつも深くなくてもよくて
短くても、ささやかでも、
その日その時の自分にとって
ちょうどいい距離感であることに
意味があるような気がします。
おいしい食べ物や飲み物、
心地よいサービスというのは
お店の大事な役割であると思います。
けれど、
それだけではない過ごし方が
自然に生まれる場所も
暮らしの中に
あってもいいのかもしれません。
用事があって立ち寄ることもあれば
なんとなく足が向くこともある。
何か買って帰る日もあれば
すこしだけ言葉を交わしてから
帰る日もある。
そういうところも
お店の心地よさのひとつ
と思います。
KOCAGEも
大きな目的を持って集まる場所
というより、
暮らしの途中で気軽に立ち寄れて
お菓子や飲み物をきっかけに
小さなやり取りが
自然に生まれる場所の
ひとつであれたらうれしいなぁ。
そんなことを思いながら
今日もお菓子を焼いています。