毎回同じように見えること
というのがあるように思います。
例えば、毎日のお仕事も
そうなのかもしれません。
同じ場所で
同じように始まって
同じように進んでいく。
何度も繰り返していると
自分でも
いつものこと
と思うようになるし、
少し離れたところから見れば
なおさら
同じことの繰り返しに
見えるのかもしれません。
でも
よく考えてみると
よく見てみると、
その中には
少しずつ違うことが
含まれているように思います。
その日の気分が少し違ったり
体の軽さが違ったり
会う人が違ったり
天気や空気の感じが違ったり。
同じように見える一日の中にも
ほんの少しずつ
違うものが流れている。
毎回同じと思っていることも
実は少しずつ違う。
そんなことは
案外たくさんあるのかもしれません。
一方で
同じことを繰り返すことには
それとは別の良さも
あるように思います。
毎回同じことを重ねていくことで
暮らしの中に
背筋が通るような
芯ができていく。
何かひとつ
変わらないものがあることで
そのまわりにある
変わっているものに
気づきやすくなる。
同じことがあるからこそ
同じではないことを
感じとれる。
そんな感覚も
あるように思います。
それはたぶん
大きな違いを見つける
ということではなくて、
ほんの少しの
ズレや揺らぎに
気づけるようになる
ということなのかもしれません。
お菓子も
少し似ているところが
あるように思います。
毎回同じものを選ぶことがあっても
そのひとつひとつが
厳密にまったく同じ
というわけではないのだと思います。
食べる時間が違う。
一緒にある飲み物が違う。
その日の気温や湿度が違う。
自分の体調や気分も少し違う。
そうすると
同じお菓子でも
甘さの感じ方や香りの立ち方、
食感や余韻の残り方が
少しずつ違ってくることがあります。
今日は香りが印象に残るなぁ
と思う日もあれば、
今日は甘さがやさしく感じられる
と思う日もある。
味そのものよりも
食べたときの空気や
その時間の静けさのほうが
残る日もあるのかもしれません。
毎回同じものを選んでいるはずなのに
受け取るものは
少しずつ違う。
それは
お菓子だけの話ではなくて
その日を過ごしてきた自分や
その時のまわりの空気が
少しずつ違っているから
なのだと思います。
お菓子を作る側としては
なるべく同じように
お作りしたいと思っています。
でも
厳密にまったく同じものになる
とも思っていません。
同じように作っていても
焼き色や香り、甘さや食感には
ごくわずかな違いをもって
生まれます。
はっきりと比べなければ
わからないくらいの
小さな違いかもしれません。
でも
何もかもがまったく同じ
というわけでもない。
そういうわずかな違いも含めて
お菓子なのかもしれないなぁ
と思うことがあります。
毎回同じに見えることの中に
少しずつ違うものがある。
そして
毎回同じことを重ねるからこそ
その違いにも気づける。
でも、その違いは
遠くから見れば
やっぱり静かに
いつものことの中に
おさまっているのかもしれません。
同じことと違うことは
きっぱり分かれている
というよりも
ひとつのものの中に
一緒にあるのかもしれません。
毎回同じでも
実は少し違う。
そのことに気づくと
いつものこと、と思っていた日々も
少しだけ違って見えてくる気がします。
KOCAGEのお菓子も
同じように見える毎日の中で
その日ごとの小さな違いに
そっと馴染むようなものであれたら
うれしいです。
そんなことを思いながら
今日もお菓子を焼いています。